「パラサイト 半地下の家族」作品のみどころ/みんなの感想

【作品のみどころ】
第92回アカデミー賞では作品賞を含む4部門を受賞したポン・ジュノ監督の韓国映画です。
アジア映画として作品賞を受賞したのは史上初のことで、日本でも2020年1月に劇場公開され話題を呼びました。
韓国特有の下層住居として知られる地上と地下の間にある半地下に4人で暮らすキム一家が、長男の家庭教師をきっかけにIT企業のCEOの豪邸へパラサイトしていくという物語です。
長男に続いて妹も豪邸に足を踏み入れ、最終的には家族全員でこの豪邸に寄生していく様子を描いています。
物語の前半は半地下で暮らす4人の日常がコミカルに描かれていますが、後半に差しかかるにつれてどんどん歯車が狂いだし、サスペンス的な要素も加わったスピーディーな展開から目が離せまん。

【キャスト一覧】
キム・ギテク(ソン・ガンホ)
キム・ギウ(チェ・ウシク)
キム・ギジョン(パク・ソダム)
キム・チュンスク(チャン・ヘジン)
パク・ドンイク(イ・ソンギュン)
パク・ヨンギョ(チョ・ヨジョン)
パク・ダヘ(チョン・ジソ)
パク・ダソン(チョン・ヒョンジュン)

【みんなの感想】
最初は話題になっていたので、興味本位で作品を観ました。仲の良い家族でどこにでもいるような家族が、人を騙して、お金のために変化してしまう姿を見て、怖さを感じました。
お金持ちと貧乏との格差をしっかりと感じられる物で、半地下というのは日本では見られない光景なので、不思議な感覚でした。特に衝撃的だったのは、最後の方のシーンで、お金持ちの人の発した言葉に対して貧乏な人が怒る気持ちも理解できました。人間としてしてはいけないことがあるのは当たり前ですが、同じ人間として相手を思いやる気持ちをなくしてはいけないと改めて感じました。また、相手の立場に立って嫌だと感じるような傷つける言葉を言ってはいけないと思いました。★★★★(星4つ)

とても面白かったです。ストーリーの組み立てがスムーズで、いちいち疑問に思ったりなんで?とかいうつまずきもなく、そもそもかなりあり得ない話なのをスムーズに滑らかに押し通してるところが良かったと思います。メインの女優さんが演技派というか実力派なのかビジュアル的に最初は戸惑いましたが、すごい詐欺力、演技力、知性で見事な演じっぷりと思いました。この家族の計画通り行くことを願いながら最後まで応援しつつ見ていて、最後の最後で悲惨な結末を迎えてしまったけれど、これぞ韓国映画というらしさを感じました。ハッピーエンドを観客に望ませながらの見事なバッドエンドへの叩き落す感じが癖になる人とそうでない人とで別れるのかなというふうに思いました。★★★★(星4つ)

最初からグイグイ引き込まれて、本当に観て良かった映画のひとつです。貧しい半地下の家族が身分を偽りながら豪邸の使用人として次々と雇われていくのはワクワク感があり、その過程の中で、半地下に住んでいる家族はみんな能力があり、頭も良いことがわかります。ため息が出るようなゴージャスな豪邸で、主人達が留守の時に貧しい家族たちがパーティーを開くシーンは印象的で、世界的な格差問題を鮮やかに描いた作品です。映像もとても美しく、豪邸に住んでいる人達も決して悪人ではありません。「最終的には金持ちになるしかないのか…」と考えさせられるちょっと厳しいラストですが、観終わった後も嫌な印象はありませんでした。自分も半地下まではいかなくても低所得層なので、ついつい半地下の家族に共感して肩入れしてしまい、ラストで半地下の家族のひとりギウが決意したように、「いつか金持ちになって父親を救い出せますように」と、祈るような気持ちになる素晴らしい映画でした。★★★★★(星5つ)

生きていく為に、また毎日の生活をしていく上でこんなやり方で生きる手段もあるのだと、かなりの度胸と精神力と別の人格になりきれる気力を要求される事で相当な覚悟が必要でしょう。どういう精神状態になるとあそこまで徹底して他の人格になりきれるのか、それなりに別人格になりきるには必要な知識も教養も要求されるでしょう。それをなんなくこなして相手を信用させ、どんどんと相手の懐にすっと入り込んでいく様子は大したもんだと言わざるを得ません。それも一種のすぐれた素質なのでしょう。やろうと思ってそう簡単に出来る事ではありませんし、ある意味、そうならざるを得ない環境では人は何でも出来る様になるのかもしれないという、人の持つ優れた可能性を表した作品の様な気がしました。★★★★(星4つ)

実際に韓国旅行は何度かしていたのと、ニュース等で話題になっている格差社会等がリアルに描かれていて身近に感じる事が出来、とても面白かったです。実際に半地下とはどんな感じなのか興味がわきました。人間に本当にいい人なんていうのはいないんじゃないかと思いました。皆、貧しくなりたくないし、お金があれば有名なブランドで身を飾りたくなるしパーティを開きたくもなるしそんな人間がもともと持っている本能の様な事を韓国に落とし込んでいたのが韓国に抱いていた興味と重なり満足が出来る映画でした。日本はあそこまでうまいこと出来てないし韓国だからこそ描く事が出来た映画だと思います。久し振りに韓国映画が面白いなと思いました。★★★★★(星5つ)

一番印象に残った場面は半地下家族の父が、自分の身体の臭いを嗅ぐシーンです。あの場面こそ、この作品を最も短い瞬間で表していたと思います。決して日本映画でも他のアジア映画でも出せない、確実に分断された韓国格差社会の悲哀が、自分の身体の臭いを嗅ぐという行為で表現されていたからこそ、この作品は高い評価を得たのでしょう。俳優、特にパク・ソダムは素晴らしい演技を見せてくれましたし、他のキャラクターの演技も秀逸でしたが、ストーリー的にはおおよそ度を超えたファンタジーコメディであり、しかもそのノリが終盤で狂気じみたホラーに転換したあたりは、一本筋が通っている名作の脚本とは言えません。しかし、この作品でしか出せない味が濃厚に感じられたことは否めませんし、ある意味韓国映画の真骨頂なのでしょう。★★★★(星4つ)

家庭教師として雇われることに成功して終わるだけじゃなく、そこから家族全員で寄生しようとする発想にワクワクしました。
なぜ下着を車に置いていったのか?と思ったが、結果運転手として父親を雇うことに成功し、家政婦にアレルギーの発作を起こさせて結核と勘違いさせて母親を雇うことに成功し…と、半地下で暮らす貧しい家族が総出で1つのお金持ちの家に侵食していく様子がとても面白かったです。
そこから、地下室があることが発覚したり、嘘に嘘を重ねて事態が大きくなっていき、家庭教師を始めたところから、まさかそんな大きな事態になるなんて…とハラハラさせられました。
考えさせられる部分や、ホラー映画を見ている時のようなヒヤヒヤする雰囲気もありますが、北朝鮮のネタがあったりとポップな部分もあり見やすいです。
スパイものやどんでん返しのある作品が好きな人にオススメな映画です。★★★★(星4つ)

まず映画を観ている最中に感じたことは、「底辺からのし上がるには、相応の知恵と度胸が無いと無理」だということです。彼らは非常に知能が高く、有能で、度胸があり、人の心に付け入るセンスが素晴らしいです。その高い能力があるにも関わらず、それまで半地下で生活せざるを得なかった経緯というのが、観ている最中の私にはいまいちピンと来ませんでした。単に「運」だけの問題なのか?特に息子と娘の優秀さに関しては、あまりにも現実離れしすぎていて、フィクションとして演出も含めて「面白い」とは感じましたが、共感や感動という気持ちはありませんでした。また騙される側の家族があまりにも愚鈍というか、一流のビジネスマンでそこまでポンコツな家族ってあるか?と思ってしまいました。そういう部分でリアリティに欠ける部分を、どうなんだろう?と思いながら観ていました。しかし、ラストシーンを迎え、そのリアリティに欠ける部分こそ、実はこの映画にとって重要なポイントではないかと感じました。なぜなら、紫式部の、源氏物語の中での言葉を思い出したからです。「物語は作り話で誇張表現も見られるが、そこに書かれていることは”人間の真実”なんです。」(『源氏物語』「蛍」)と。そういう意味では、主人公家族がやたら有能だったり、ビジネスマン家族がやたら無能だったりするのは、人間の真実を描くために必要な過剰なフィクションであったと、そう理解するならば、この映画は傑作としか言いようがありません。人の心の深淵を、人間の真実を描くエンターテインメントとして、超一流。繰り返しの視聴に耐える一本です。2度・3度と観返したくなります。★★★★★(星5つ)

韓国という国の貧富の差がすごく表れている作品でした。ミニョクを初めミニョクの家族がパク一家の家に入り込むまではとても楽しく、内職しかなくて貧乏だった生活から抜け出せてそれで満足しておけば良かったのにと思いました。せっかく上がっていた生活レベルが、あの豪雨のように一瞬でなくなることに虚しい気持ちにもなりました。また、キャンプの夜パク一家が帰ってきて隠れている時は見ていたこちらまで緊張が走るようなシーンでした。お父さんがコソコソと地面をはって移動するシーンは、最初に出てきた虫を表しているようにしか見えなかった。そして地下にずっと住む更に半地下よりも過酷な生活をしている様子には目を瞑りたくなりました。この映画の様々な描写に貧富の差が表れていて、それが何度見ても興味深く魅力的でした。★★★★★(星5つ)

現代韓国に蔓延る「病」を目に見えるかたちで顕在化した映画全体における問題提起は、我々が暮らす資本主義や生活に根付いたテーマだからこそ、圧倒的な没入感で予備知識なしでも序盤からぐいぐいと引き込まれました。前後半で印象が大きく変わる映像作品だが、一つ一つの小道具や所作、習慣の違いなど、富裕層と貧困層の「分断」を細部までしっかりと描ききったポン・ジュノさんの手腕と映画作品としての娯楽性のバランス感覚は見事としか表現しようがない。持つものと持たざるもの隔たりの大きさや意外な脆さ、その間隙をスリリングに描いた緊張感やエンタメ性は普遍かつクオリティが高く、ポンジュノ監督が持つ世界性とスケールの大きさが存分に発揮された作品になっており、万人におすすめ出来る映画作品です。★★★★★(星5つ)