2019年10月11日に公開された「アップグレード」。あまりの面白さに度肝を抜かれる、そんな経験を与えてくれる作品です。
全身麻痺の男がAIの力を借りて超人になるというアイデアのもと展開される、新感覚の高次元アクション。
映画は日々進化しているんだと、感じさせてくれる秀作。まだ観たことがないという方には是非楽しんでいただきたいです。
新感覚のSFアクション映画「アップグレード」について

埋め込まれたAIが身体を支配して繰り広げる機械的かつ斬新なアクションが見ていて楽しい。有能過ぎるAIに振り回され、“バディ”なのにかみあわないやり取りが刺激的
あらすじ
「パラノーマル・アクティビティ」のジェイソン・ブラムが製作、「インシディアス」シリーズで脚本や監督を務めたリー・ワネルがメガホンを取ったSFアクション。近未来、妻と平和な日々を送っていたグレイは、突如現れた謎の組織によって妻を殺され、自身も全身麻痺となってしまうが、巨大企業の科学者によって実験的に埋め込まれたAIチップ「STEM」の力によって麻痺を克服し、人間を超越した身体能力を手に入れる。グレイは脳内で会話する相棒的存在である「STEM」と協力し、最愛の妻を殺害した謎の組織への復讐を誓う。主人公グレイ役を「プロメテウス」「スパイダーマン ホームカミング」のローガン・マーシャル=グリーンが演じる。
アップグレードは、何者かの襲撃に遭い、妻を殺され、自身も全身麻痺となってしまった男グレイが、最新技術の助けを借り、犯人探しに向かうSFアクションです。
全身麻痺になってしまった身体の機能を取り戻すのに脊髄に移植されたAIの「ステム」。自分の身体でありながら、人工頭脳という別の存在が身体を動かす世界を描いています。
冒頭の不幸な出来事から、生身の人間グレイとAIチップのステムとの融合に希望を見出すのはわずかの間だけ。
全ての電子機器にアクセスが可能で、進化を続ける人工知能ステムが、自らの意思と目的のためにとった行動に要注目。思いがけないエンディングに、考えさせられると思います。
主人公に埋め込まれたステムとは?

AIチップ:ステム
今作の舞台は身の回りの全てがデジタル化された近未来。
「ステム」は、小さな虫のようなチップ。私たちの住む世界でも、技術革新でデジタル機器が、どんどん小さくなり高度化しているだけに、説得力あります。
脊髄の損傷によって、脳から手足を動かす信号が送れなくなり指ひとつ動かせなくなったグレイを前に、「もう一度歩けるようになるかもしれない」とエロンが持ち掛けたのは、グレイにAIチップのステムを移植すること。失われた神経機能をステムが補うはずだと、グレイを説得し、手術にこぎつけたのでした。
ステムを移植されたことにより、グレイは人間でもない、機械でもなく「それ以上の存在」となるのです。
ストーリーとアクションが高次元の傑作
身体機能を失った男が、最新のAIチップにより超人的な能力を得るという本作の設定は、一見するとアメコミ映画のヒーローを連想させます。
しかし、終盤からラストまではこの両者の関係を含めて、観客の予想を裏切る展開が用意されているなど、実によく脚本が練られているという印象を受けました。
本作が単なるSFアクションに終わらない理由の一つは、上記でも解説したAIチップ「STEM(ステム)」と主人公グレイとの関係性の描き方にあると言えます。
AIテクノロジーが進んだ世界で悪役との死闘の果てに待っている意外な結末を知るには、是非U-NEXTで視聴していただければと思います。